TOPに戻る
鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

父が亡くなって大忙しだったが、何がそんなに大変だったのか、家の恥、家族の恥を晒すことになるので書こうかどうか迷ったが、誰かの何かの参考になるかもしれないので、いろいろここに書いておくことにする。

父が死亡してやらないといけないことはいろいろあったのだが、自分たちがやっていたことは

  • 父親にかなりの債務があることがわかり、どこからいくら借りていて、月々いくら返済しているか突き止めること。
  • 父親の口座から毎月引き落とされているようなものに関して、いろいろな資料から連絡先を割り出して、退会や解約の連絡をし、手続きをすること。

ということである。どっちも大変だった。まともに終活もしてくれてなかった。父が亡くなったあとに父親の亡骸を応接間に安置した後、葬式までの1日半、その遺体の横で父のPCのファイルを調べまくって、資料を漁って、ということをやっていた。なんともシュールな状態。

その結果、いろんな引き落としが「こんなにたくさん!」ということがわかってきて、まあ何かの会費やらレンタル料金などなら解約すればストップするが、借金に関しては兄弟で頭を抱えていた。4人兄弟なのだが、私を含めて3人は相続放棄。払えるわけがない。常識だとは思うが、相続はプラスの財産だけでなくマイナスの財産(負債)も相続するのだ。

資産としては、そんなに借金をしていた状態なので預貯金はほとんどゼロ。しかし家と土地がある。その家は四男に譲りたいと父は生前言っていて、四男もそのつもりだったのだが、そんなに借金があるのならどうしようかと考え込んでいた。家と土地がいくらで売れるか、そして借金の残債はいくらか。それを天秤にかけてプラスだったら相続しても大丈夫かもしれないが、そんな簡単な話ではない。いったん相続してしまえば、家が売れるのが半年後になるのか1年後になるのかわからないが、それまで毎月返済をしないといけないのだ。固定資産税も払わなければならない。

そして父は「雪だるま式」に片足を突っ込んでいたような状態で、私が丸2日かかって調べ上げた月々の返済額を集計して見せたら、四男はまたまた頭を抱えて「こんなん払っていけへん」と言う。それは一介のサラリーマンとしてはかなりきつい額であった。

残債がいくらあるか調べる方法がある。「日本信用情報機構(JICC)」「シー・アイ・シー(CIC)」「全国銀行個人信用情報センター」という3つの信用情報機関というのがある。この3つには消費者金融やクレジット会社、銀行などの金融機関が照会する信用情報が登録されており、本人か相続人であればいくら残債があるかを照会できる。この3つでクレジットや信販会社、銀行系、消費者金融等の債務は調べられる。ただし闇金や個人間の融資はわからない。当たり前といえば当たり前だが、父は個人的に金を借りていることもわかっている。兄がこの3つに開示請求をかけたのが先週のいつだったか、結果は1週間から10日で送られてくるという。あくまでもそこに載っているのは「最低いくら債務がある」ということだけだが、一応四男はその結果を見てから最終的に判断することになった。

相続のしかたで「限定承認」という「資産を調べて、プラスだったら相続、マイナスだったら放棄」という制度もあるのだが、かなりややこしい。被相続人が死亡してから3ヶ月間は熟慮期間といって、相続放棄をするならその期間内にやらないと自動的に単純承認(相続)が成立するので忙しい。それまでにプラスとマイナスの額を確定させられるのか。特に借金に関しては、調べ尽くせなくて、相続してから「金返してください」と新たな債権者が現れてもそれはかぶらないといけない。リスクが高い。手続き的にもややこしくてハードルが高い。

ともかく四男以外の3人は相続放棄の手続きをすることになった。相続放棄をする時に最大限の注意を払わないといけないことがある。それは「被相続人の財産に手を付けてはいけない」ということである。少しでも財産に手を付けると、その時点でそれは相続をしたとみなされて相続放棄ができなくなる。

ここで「手を付けない」というのはプラスだけはなくマイナスも全てである。「父親のお金を使ってはいけない」「父親のものをもらったり売ったり名義変更してはいけない」というのは当然だが、「父親がもらうはずだったお金をもらってはいけない」というのもあるし、「父親が払うはずだったお金も払ってはいけない」ということになる。自分が少しでも払ってしまったら「負債を相続した」とみなされることになる。

ここでの負債とは、実際に金融機関の借り入れだけでなく、たとえば解約した色々な会の会費だとかレンタル料金などの未払金も含まれるらしい。私がいろいろなところに解約の電話をしたときに、たいていは「解約申請書をお送りしますので返送してください」ということになったのだが、その時に「3月分の料金はお支払いいただく必要があります」と言われた。まあ当たり前の話なのだが。口座振替になっているものが多く、3月22日に亡くなったのだがそれ以降の日付で引き落とされるはずのものがたくさんある。しかしそれらは払ってはいけないのだ。銀行口座はすべて凍結したので勝手に引き落とされる心配はないし、実際に未払いになってしまったものももうたくさんあるはずだが、さてどうするか。

逆に「受け取ってはいけない」というのは、たまに解約したら返金があるようなものもあって、「解約申請書に銀行口座を記入する欄があるので、返金先の口座番号をご記入ください」と言われてるのだが、これも受け取ってはいかん。解約だけしたいので「返金不要です」と書いて出せばいいのだろうか。もう少ししたら書類がじゃんじゃか送られてくると思うが、今から頭が痛い。

相続放棄の相談は、大阪の兄弟は自分たちで、私は横浜で単独で司法書士に依頼することになった。手続きだけなら役所で必要書類を集めて家庭裁判所に送って、ということをやればいいだけなのでそんなに難しくもなく、自分だけでもできるようなことである。しかし手続きの申請をしてすぐに裁判所で認められるわけでもなく、書類不備などあって突き返されたらめんどうなので、そこは多少お金がかかってもプロに任せたい。なんせタイムリミットがあるのだ。それだけだと3~4万円くらいでできるようだ。

とは言え、それだけで大丈夫なのだろうか。自分が心配しているのは手続きだけでなく、むしろ債権者から電話がかかってきたり、「3月分の料金をまだお支払いいただいてないのですが」という催促にどう対応したらいいか、という点である。なんせほぼ全ての解約関連の窓口を私にしたのだ。そのうちあちこちから電話がかかってくるに違いない。ここが一番負担がかかるし、実際どう言えばいいのか。兄によると「現在相続放棄の手続き中で、司法書士に任せています」と言えば相手はもう自分に催促することはできないという。牛乳屋にもそう言えばいい。

本当か?

司法書士ができるところはどこまでか。それを今日は調べていた。弁護士と司法書士の違いは「代理権」があるかないか、と書いてあるサイトがあり、「受任通知」というのを債権者に送ればもう自分たちに貸金業者が連絡をとることはできない。受任通知というのは、要は自分が債務者の代理人になったから、今後は一切直接債務者に連絡を取るな、自分たち弁護士を通せ、そういう通知らしい。

う~ん、なんか弁護士でないとだめなような気がする。

貸金業法第二十一条にはこう書かれている。そこでは「弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人」と書かれてあるから、司法書士でも大丈夫そうなのだが、と思ったのだが「その旨の通知」は受任通知ではないのね。相続放棄の手続きというのは、「貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理」ではないからか。

貸金業法の第二十一条1項

(取立て行為の規制)
債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

しかし、とある司法書士のブログでこんなことも書かれてあった。

ご依頼いただいた相続放棄手続きの中に被相続人が消費者金融から借入をしているというのもあり。ちゃんと手続きをすれば心配ないとは伝えたが、それでも心配そうなので取り急ぎ債権者へFAXで通知を送った。

司法書士は家事手続きについての代理権は無いので、あくまでも相続放棄申述受理申立書の作成を請け負った旨を知らせる通知であるが。そのような通知でも送っておけば、少なくとも正規の貸金業者であれば、その後に取立行為がおこなわれることはないはず。

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなとされている(民法939条)。そして、これから相続放棄をする旨を司法書士から伝えているのに、その前に取り立てをおこなおうなどという貸金業者はさすがに存在しないだろうということ。

う~ん、代理権はなくても、上に書いてあるように司法書士が手続きを請け負いましたよ、と債権者に伝えるのは、それは結局兄の言うように「相続放棄の手続き中で、司法書士に任せています」と言うのと同じことか。本当に手続きを始めている、という証拠を送ってくれるということで。自分で送ったらだめなのかな。牛乳屋にも送るのかな。法律は難しい。この辺は司法書士の腕によりけりなのかもしれない。

まあいいや、明日横浜の司法書士に相談の電話をかけてみよう。できるだけ早く話を聞いて動きたい。

もちろん金があれば何も考えずに弁護士に丸投げすればいいが、うちはみんなお金がないのだ。親が借金を残して亡くなって、相続人がお金がないなんてケースはいくらでもありそうだが、みんなどうしてるのだろうか。

これから進展を書いていくつもりである。


コメントする

メールアドレスは公開されません

*は必須項目です