清水義範の「朦朧戦記」を読了。最初はちょっとボケ始めたお年寄りたちが、羽目を外したり周りの人を右往左往させたりすっとぼけたりやらかしたりしながら人生を楽しんでいる様子から始まる。清水義範の小説によく出てくる「あるある感」満載だけでなく「あるのか?感」もいっぱいあった。
読んでいいくうちに、「いくらなんでもそこまではないだろう」という感じになっていくのだが、そこがデフォルメされておもしろいところなんだろう。なんせ70代80代の老人どうしで合コンをしたら最後には乱交パーティーになってしまうのだ。挙句の果てにアメリカと本物の(小さな)戦争を始めたり、学生運動を始めたりする。
これは要するに、今の若い人がやっていることや、お年寄りが若い頃にやっていたことを今再びやってみるとこんなことになるだろう、というある意味パロディとも言える小説で、本人たちにとってそういう「老人の本気」はとてもおもしろいものなんだ、という話なんだろう。おもしろかったのだが、清水義範の小説で人がバタバタ死ぬのは珍しいので、なんだかそこは残念。