それは19時頃、夕食でさんまを食べている時に起こった。
「ん?喉が痛いな。さんまの小骨でもささったか?」
ま、小骨だしそのうち取れるだろう、と思って食事を終えたが、まだ喉に違和感がある、というか痛みが出てきた。
「やばい、まじで刺さった」
自分、魚が好きで骨までばりばり食べてしまうので、ときどき骨が刺さるが、たいていはすぐに取れる。しかし、今日は違った。さて困った。
魚の骨が喉に刺さった時の対処法として、一番正しいのは「病院に行く」である。昔からよく言う「ご飯を丸呑みする」というようなことは、絶対にやってはいけない。運が良ければご飯と一緒に骨が取れる場合もあるが、逆に押し込む場合もあって危険である。
しかたがないので、救急医療センターに行った。順番を待っている間、待合室で看護師さんに「どうされました?」と聞かれ、「魚の骨が喉に刺さりました」と答えた。すると、「何の魚ですか?」と聞かれた。そんなことまで聞かれるのか、まあいいや、と思って「さんまです」と答えた。
その後、妻と話をしていると、後ろから「ブリです」という声が聞こえてきた。もしかして、けっこう多いのか?
自分の名前が呼ばれて診察室に入り、医師が「口を開けてくださーい」と言うので開けたら、「あ、これは取れるわ」と言って、ピンセットで一瞬のうちに抜き取った。見せてもらったら、小骨ではなく、もう少し太い骨だった。うう、さんまとて侮るなかれ。
そして診察室を出るとき、看護師さんが大きな声で、
「さんま取れましたー!!」
と威勢よく言った。待合室にも筒抜けである。妻は必死に笑いをこらえていた。私は顔から火が出るほど恥ずかしかった。しかし、さんまの骨が取れたのは本人も医師も当然わかっている。あの看護師さんは誰に向かって言ったのだろう?
その後、お会計で呼ばれたので、窓口に行くと、こう言われた。
「4,430円です」
(・o・)ハッ?
「よんせんよんひゃくさんじゅうえん!?」
びっくらこいた。そんなに治療費がかかるとは思わなかった。
診療費明細を見ると、
た、確かに4,430円。おとなしく払ってから、改めて診療費明細書を見てみる。
手術・・・・・・
咽頭異物摘出術(簡単)、とな。
そっか、「処置」でなく、「手術」になるんだ。たった1秒でも。
その1秒で756点。金額にすると7,560円。その3割だから2,268円。たった1秒で・・・。
それに初診料、休日加算などがプラスされるが、これはまあしかたがない。
魚の骨が喉に刺さって病院に行ったのは、実にこれで3回目である。1回目は子どもの頃、2回目は数年前だが、そのときは行ってみたら骨は取れていて、刺さっていたところが傷になって痛かっただけなので、処置のみ。そのときはそんなに治療費がかからなかった。
それにしても、とっても高い1秒だった。かなりショックである。