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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

睡眠障害は続く。20:30には就寝して寝付きはよかったのだが、0:00には目が覚める。その場で追加眠剤をもらって寝たが、2:00頃また目が覚める。2回目の追加眠剤をもらったが、3:00には目が覚め、その後は寝ても寝ても10分おきに目が覚める。結局4:00に、また喫煙所にきていつものメンツとひそひそ話。おっと昨日入院してきた派手おばさんTさんもいる。彼女は躁鬱で、躁状態のときはじっとしてられないし、横柄な感じになってしまうらしい。昨日は躁状態だったらしい。気を失ったのは単なる貧血だとか。居酒屋を経営しているそうで、派手なのは儲かってるからか、単に性格なのか。まあ、よく考えるとそういうおばさんは街中にいくらでもいる。パジャマの前がはだけて乳房が片方丸見えになっていて目のやり場に困る。思わず、「あの、前はだけてますけど」と言うと、まったく気にしてないようで「あ~ら失礼」と言ってボタンを留める。

彼女は2回目の入院らしい。どうりで手慣れていると思った。ここのメンツで話をしていると、この間と違うT看護婦が「この時間にここで喋らないでください!」と注意してきた。また注意された。昨日私にわけもわからず怒った看護婦だ。「I看護婦は新米でまだまだだね」「T看護婦は厳しいし、患者を見下してるよね」Tさんと話していると、結構話が合うことがわかってきた。そのうち、「あっついわね~」とTさんが言い出したので、私が冗談で「脱いでいいですよ~」と言うと、あっと言う間にパジャマのボタンを外して私の目の前にばーっとはだけて見せた。まさか本当にやるとは思わなかったので、今度は目のやり場に困る間もなく唖然としてしまった。あっけらかんとしたおばさんだ。その後「着替えて来るね」と言って普段着に着替えてきた。なんつーか、楽しいおばさんだ。悪い人ではない。

居酒屋は大変らしい。朝早くから仕込みを行い、開店すると酔っぱらってからんでくるおっさんの相手をし、夜遅くまで働き通しで、夜は後かたづけ。油物なんかを大量に揚げるので、掃除も大変らしい。そんな状況で、大事にかわいがっていた一人息子に、詳しくはわからないが何かあったらしく、相当なショックを受けたらしい。

Tさんは私と同じ病院に通院していて、やはりこの病院を紹介されたそうだ。あの病院とこの病院はパイプがあるらしい。家もけっこう近くで、思わず握手を求められてしまった。彼女は体重が30kgまで減って相当やばい状態になったこともあるらしく、病歴はけっこうすさまじい。鬱のときは幻聴や幻覚が出るそうだ。私も幻聴ではないが、鬱がひどいと頭の中にすさまじいノイズが走る。

朝食後、喫煙所で話をしていると、私が散歩に行く準備のために持っているオカリナを見てTさんが「何それ?」と聞く。「オカリナです」と答えると、また「それ何?」と聞いてくる。すると、必ず誰かが「鬼太郎が吹いてる奴ですよ」と教える。このパターンは何回かあったが、世間では「オカリナ」=「鬼太郎」なのだろうか。うむむ。せめて「トトロ」くらい言ってくれ。

オカリナを聞いてみたいというので、今朝の散歩はTさんとHさんと一緒に行って、いろいろとリクエストに応える。が、Tさんは20歳も年上なので、リクエストされてもわからない曲が多かった。Hさんが隠し持っている携帯でみんな友達に電話する。途中から、遠くで電話していたMちゃんも寄ってきて、尾崎豊をリクエストするので、「O My Little Girl」を吹いた。

今日も作業棟へチャリ漕ぎに行く。今日からシャーペンでなく、ボールペンを持っていくことにした。昨日のことがあって、別にMちゃんが悪さするかも、というわけではないが、作業棟へは他の病棟からもいろんな患者が来る。他にもリスカをやる人はいるだろうし、やはり不用意に尖った物をその辺に置くのはまずいだろう。

まずは体重測定と体脂肪率測定をするのだが、ここの体脂肪率測定器はなかなか優れてる。腕を伸ばして手で計るタイプなのだが、年齢、身長、性別は自分で入力するのに、体重は、床に表示板のない体重計が置いてあって、それに乗ると赤外線で体脂肪率測定器にデータが自動送信される。これははじめてみたぞ。

一般コースのトレーニングで20分と設定して漕ぎ始める。と、あれあれ?なんだかはじめから心拍数が高いぞ。なんでだろう、今朝すごいものを見ちゃったからかな。結局昨日より心拍数はずっと高めで、ペダルの負荷もあまりあがらず、20分漕いだのに91.6kcalしか消費しなかった。う~ん、100をきってしまった。ちょっと休んでからリベンジ!そう言えばジムに通ってた頃は、「登山のような本格的な有酸素運動をやる人なら、年齢を低めに入力すると負荷があがって、ちょうどいいトレーニングになりますよ」と言われたので、いつも年齢を詐称して漕いでいたのを思い出した。今度はそうやって漕いでみたが、やはり心拍数は高め安定、負荷もあがらず、結局20分漕いでも87.7kcalしか消費しなかった。

向こうのエアロバイクを漕いでいるおばさんが、隣で漕いでいるおじさんに「水は飲んじゃだめ!水は後から飲みなさい」と言っている。かわいそうに、このおばさんは古い知識しかないんだ。昔は「水は飲むな」と言われたそうだが、現在の運動理論では、水分を補給しないと血液の濃度が上がって危険なので、発汗した分の水分はできるだけこまめに補給した方がいい、ということになっている。

今日も昼食後に、急に疲労が襲ってきた。寝不足と朝の運動の疲れが、後からくるようだ。今日は山岳会の集会のために外出するが、出発するまでに時間がある。しばらく横になって休もう。トライトーンのTop「松永ちづる」の一人アカペラCD「We’re all alone」を聞きながら。「We’re all alone」とは、本当は恋人同士が「僕と君は2人で1人」というようなニュアンスの曲名らしいが、このアルバムでは、松永ちづるが「一人で多重録音したアカペラ」という意味合いも兼ねているらしい。

すごく肩が凝ってきた。寝てるのに何で凝るんだろう。自分が100円ショップで買ってきた肩叩きで肩を叩いていると、マッサージに詳しいHさんが「叩くのはあんまりよくないんだよ。揉むとかさするとか、そういうのはいいんだけど。一番いいのは、自分で体操して凝りをほぐすことだね」と言う。彼自身、どこかでもらった薄い冊子に載っている体操を一日30分くらいかけてやっているそうだ。「これから外出するんですけど、ついでにコピーしてきたいんで、その本、今持ってたら貸してもらえませんか?」そう言うと、「あ、家にあるから取ってくるわ」そう言って出ていった。散歩が認められてるのは1時間だけだが、彼の家は病院からチャリで5分らしい。閉鎖病棟と違い、付添人がいるわけではない。散歩と言ってこっそり出ていくのは可能だ。それにしても、わざわざ暑い中、チャリで取りに行ってくれるなんて、なんていい人なんだろう。

出発時刻が近づいてきた。バスの時間までしばし喫煙所で暇をつぶす。私の寒いギャグで場が凍りついてしまった。みんな「さむ~い~」とブーイング。う~ん、寒いギャグを言うのは私の癖なんだが、たま~に受けてくれるのでやめられないのだ。でも「場が凍りつくような寒いギャグはやめにしようよ」なんて言われたので「すみません、これも病気の症状なんです」とさらに冗談で返す。が、その時ふと思い出した。「病気を言い訳にしないこと」会社のカウンセラーに、カウンセリングの初期の頃に言われたことだ。病気によって通常できることもできなくなってしまうが、何でもかんでも病気を理由にしてしまう癖をつけてはいけない、ということだったかと思う。そういう癖をつけてしまうと、「鬱を語った甘えんぼさん」になってしまうような気がする。思えば、入院する前の一ヶ月間、私はまるまる会社を休んで、ほとんど寝たきり状態だった。その間、調子が悪いのは確かだったが、「甘えんぼさん」になりかけていたような気もする。「いいや、どうせ俺は病気なんだ。会社なんか行けないんだ」そんな自暴自棄な気持ちになっていたのかもしれない。

バスに乗る。病院の外に出るのは先週の月曜日以来だ。この間は、少し買い物しただけで、えらく神経が疲れてしまった。今回は1泊2日の長丁場だ。できるだけ神経を刺激しないように気をつけよう。まずはバスの中でじっと目を閉じる。目からの感覚刺激である視覚情報は、情報量としては膨大であり、脳はその情報を処理するのに常にフル回転し、脳神経を非常に酷使する。だから、目を閉じるだけでかなり神経を休めることができる。神経が疲れたとき、両目を閉じることができなくても、片目だけ閉じて仕事やその他のことをすれば、それだけで脳はだいぶ楽になるらしい。ときどき開く目を替えてやればよいそうだ。片目ずつ開けて寝るのはドクター中松だっけかな。

電車の中でも目を閉じ、瞼を通して突き刺さるまぶしい光を、まぶかに帽子をかぶってシャットアウトする。電車の騒音は、お気に入りのCDをかけることによってリラックス。

集会の会場に直接行くのでなく、時間に余裕をもって出てきたので、途中で自分の本拠地の駅で降り、お気に入りの足裏マッサージをやってもらう。ここに来るまでに、すでにかなり神経がすり減っていたのが、かなり癒されていくのがわかる。

ハンバーガーショップで時間をつぶしつつ、日記の続きを書き、再び電車に乗る。さっきは座れたが、今度は座れなかったので、連結器の扉にもたれながら目を閉じ、CDを聞く。幸い次の駅で座れたので、ゆっくり休むことができた。かなり神経が安らいで来たので、ハンドヘルドPCを取り出し、日記の続きを書く。この文章はまさにその電車で書いているものである。この電車で終点まで行き、乗り換えだ。あまり神経を使いすぎるといけないので、電車の中ではこれくらいにしておこう。

今日の会場は、自分ははじめての場所だ。会場への行き方を案内したメールをハンドヘルドPC上で表示し、それを見ながら進む。こういう使い方は正に「手帳代わり」としてうってつけだ。会場に行く途中で山岳会のKちゃんに会ったので、一緒に行く。この文章は会場で書いている。まだ人数がそろわないので始まるのを待っているところだ。今日は私が企画したオリジナルTシャツを配るので、ずら~っとTシャツが並んでいる。去年と一昨年もTシャツは作ったのだが、去年までは全員同じ色だったのを、今年は「色は自由に選べる」ということにしたので、並べると実にカラフルだ。

隔離された環境にいたので、大勢の仲間に会うのは久しぶりだ。見慣れた顔を見るとほっとする。心も自分と親和性のあるものに触れると安心するようだ。話は飛ぶが、人間の体は体内に異物が入ってきたときに、それを排除しようとする免疫機能がある。人混みに行くとストレスが溜まるのは、自分の心と親和性のない大勢の人達に対して、心が拒否反応を示すのだろうか。

ある会社の人事部に勤務するGさんが、私のHPを読んで参考になった、と言ってくれた。他にも私には人事部に勤務する友人が2人いて、2人とも同じようなメールをくれた。最近では、まぢめな企業はちゃんとメンタル系のケアの必要性を感じて、何か対策をしないと、と思っているようだ。だが、どうすればいいのかわからない、というのが現状らしい。私の書いた文章が少しでも参考になれば嬉しい。

人数が集まってきたので、とりあえず机上講習から始まる。今日のテーマは「安全に登山するために~遭難対策とビバーク~」私が会の運営委員会のメーリングリストで提案したテーマである。講師は遭対部教育局(兼会長)のN氏。

講習の次は、H氏が提案した「会山行」についての話し合い。うちの山岳会のスタイルは、メーリングリストで「いつ、どこの山に登るけど、行く人は手をあげて」てな感じで誰でも企画を立てられる。基本的に「会全体の企画としての山行」というのは、一年に一回の「祭り」の時くらいだ。それだけでなくて、定期的に「会山行」を開催しよう、ということなのだ。とりあえず9月の日程と行き先を募る。とりあえず第1回は、ある山への集中登山と決まった。集中登山とは、目的の山を決めて、各自好きなルートから登って頂上で会いましょう、というものである。沢から登るのもありである。

次の議題は、毎年恒例の「お祭り」の件。毎年秋にバンガローなどにみんなで集まって、手料理を作って楽しんだり、去年は山道具のオークションをやったりした。山岳専門店のバーゲンでの戦利品や、お古を放出したりしていた。今年は会長が暫定幹事として企画を進めていて、すでに日程や場所は決まっている。残りの仕事を進めるための実行委員をじゃんけんで決める。お、今年もオークションをやるらしい。この祭りには何とか参加したいな、と思っている。私はネットオークションで小さめのミレーのザック(新品)をいくつか格安で落札したので出そうかな。

集会が終わり、駅でみんなと別れる。みんなはこれから飲み会だが、私は普段なら既に就寝時間。みんなとおしゃべりしたいけど、無理は禁物だ。できるだけ今の生活のリズムを崩さないようにしなければ。電車に乗り、一駅で乗り換える。始発駅なので、一本電車を見送れば座れる。どうしようか迷ったが、やっぱ疲れてるので一本待って座った。で、今は電車の中でこれを書いている。

22:20帰宅。とりあえず下山報告。ではなかった帰宅連絡を病棟に入れる。で、シャワーを浴びてから眠剤を飲み、最後の日記を書いて送信して寝よう、と思ってこれを書いてると…、

かゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆい!!!!!!!

体中がかゆい。調子を崩してから部屋の掃除もろくにしてなかったので、埃でアトピーが悪化したかな、と思ったが、よくみると蕁麻疹である。体中そこらじゅうに出てきている。猛烈にかゆい。蕁麻疹が出たのは生まれて3回目、過去の2回はどちらも心身ともに強烈なストレスを受けたときだった。今日もそうだ。体中が悲鳴をあげている。やめてくれ、もうこれ以上俺をいじめないでくれ。そう言っているようだ。ステロイド剤を塗って塗って塗りまくる。もう限界だ。今日はこれで落ちることにする。社会復帰はまだ遠い。


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