TOPに戻る
鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

よく寝た。ほとんどぐっすり寝ていた。Wさんが枕元の電気をつけたときに一瞬目が覚めたが、時計を見るとすでに4:30だった。その後すぐにまた寝て、洗面所で音がしてからまた目が覚めた。5:30をちょっとまわったところだった。私は「目覚めのヨーガ」に書いてあったポーズをうろ覚えで繰り返しやってみて、覚醒モードに入ろうとした。途中また眠ったりしてしまったが、仰向けの状態、横向きの状態を左右両方、最後にうつ伏せの状態で猫が伸びをするように体を伸ばして起きた。6:00ちょっと前で、そのまま洗面にいった。洗面している途中に起床を知らせる放送が入った。

朝食後、ドリッパーでコーヒーをいれて一服した。今は7:37。今日も作業療法だ。8:45くらいからストレッチを開始するとして、8:40に病棟に戻ってくるように散歩に出かけるか。散歩を30分とすると8:10に出ればいい。それまでゆっくり音楽でも聴いていよう

8:00過ぎにいつもの音楽堂へ行ってオカリナを吹いていると、若い女性が現れて「それ、なんていう楽器ですか?」と聞いてきたので「オカリナっていうんですよ」と答えた。彼女はよくその辺で寝そべってると聞こえてくるのでなんだろうと思っていた、というようなことを言っていた。

オカリナを吹き終わった後、いつもの山道をぐるっと一周して戻っている途中、海がよく見渡せる丘の上にあるビーチチェアにさっきの女性が寝転がっていたので話しかけた。彼女はよく一緒に散歩に来る友人から「フルートの音が聞こえるよ」と聞いてきたらしい。彼女自身は音大でフルートを専攻していたらしく、興味を持ってきてみたら、フルートの音ではないし、リコーダーでもないし、なんだろうと思って覗きに来たらしい。彼女も病院にフルートを持ってきたかったが、高価だし大きいし、ということであきらめたそうだ。オカリナは小さくてよかった。彼女は「スカボロフェアー」の音を私が間違って吹いていることを指摘してくれた。言われてみると、確かに違っている。歌うとちゃんと歌っているのに、吹くときには間違えていたようだ。教えてもらってよかった。少し話をしてから彼女と別れ、病棟に戻った。

作業棟へ行って基礎データを計り、体力テストをしようとすると、作業療法士が「先に彼に使わせてあげていいですか?」と中年の男性をさして言う。彼の体力テストをいつも私が使っている機種でやりたいようなので「いいですよ」と答える。そう言えば昨日、同じ機種でもう一台隣にある壊れている奴は、液晶表示が見えないだけで、その他はちゃんと動いているので、スイッチを入れて、正しく入力をして、終わった後結果をプリントしたら使えるはずだ、というのでチャレンジしてみた。毎回使っているので入力手順はわかっている。ボタンを確実に押したかどうかも電子音で確認できる。その結果、みごと体力テストに成功した。短い時間で終わったので、また途中で打ち切られたのだが、その割には「6段階中の3。普通」が出た。

昼前、売店に行ってペットボトルのお茶と「週刊アスキー」を買った。その帰り、週刊アスキーを小脇に抱えて歩いていると、婦長とすれ違った。婦長は私が本を持っているのを見て「また本を買ったの?また勉強するの?」と聞いた。私が「雑誌ですけど」と答えると、「じゃあいいけど」と言われた。雑誌じゃなくて勉強する本だとよくない、ということなのだろうか。看護婦は私が試験に向けて勉強をしていることに対して快く思ってないのだろうか。「この患者はあせっている。もっとゆっくりしたらいいのに」と思っているのか。治療上好ましくないのか、他の患者に気を遣わせるので実は迷惑だと思っているのか。今度婦長をつかまえて直接聞いてみよう。

昼食後、主治医がナース室に来ているのが見えたので、ちょっとつかまえて脈拍が高い状態が続いていることを話し、薬の影響は考えられないか聞いてみる。「う~ん、なくはないとは思いますが、めったにないと思います。よくわかりません」という答えだった。気にしなくていいのか、気にした方がいいのか自分でもよくわからない。何か別の病気の兆候だと嫌だなあ。頻脈が初期症状として考えられる病気を疑って、検査を受けた方がいいのだろうか。内科の医者に相談してみよう。

内科の医者は週に一度しか来ないはずだった。何曜日に来るのか聞いてみようと看護婦に聞いたら「火曜日」で、もう来て行ってしまったところだという。しまった~。頻脈が続いている状態であることを看護婦にも改めて伝え、その件で相談したい、ということを伝えてもらうようにお願いしたところ、内科の医者には主治医経由で依頼することになるので、主治医に伝えておきます、と言ってくれた。

午後、ホールでビーズを編んでいるIさんに話しかけてみた。今週末退院するBさんのためにビーズの指輪を3つ作っているという。いろいろと話がはずんだ。いつも暗い表情をしているけど、話すと笑顔が出てきてこっちも気持ちよくなる。その後は喫煙所で別のIさんと話をする。自分の家族のこととか話した。結局親は理解しない。自分たちの責任を認めたくないんだ。そういうことを言っていた。

15:00のシャワーの後、薬剤師が来て今度は副作用の説明をしてくれた。頻脈について聞いてみたら、0.5%くらいの確率で報告はされているそうだが、そういう確率なので副作用を疑うより医者に相談してみた方がいいと言われた。

今度はBさんがビーズを編んでいる。「目が疲れない?神経使いそうだけど」と尋ねると、「でもこれやってると、集中して他のことを考えなくてすむんですよ」そう言った。そうだ、「不安から逃れる方法」の一つには、他のことに集中して不安なことを考えなくてすむようにする、というのがあった。ビーズなんかいいのかもしれないな。女性はけっこうビーズでいろいろなものを編んでいる人が多い。

16:00の服薬まで少し時間があったので、昨日婦長から聞いた「一年に2回咲く桜」を見てきた。本当にサクラだった。もとい、桜だった。こんな季節に桜が見れるなんて、ちょっとびっくりした。なんだか得した気分だ。これで春もちゃんと咲くのだろうか。他にどこかに咲いているのだろうか。

夕食後に婦長をつかまえて、昼間に「また勉強するの?」言われたという件について聞いてみた。私が勉強している件について、医療スタッフとして「好ましくない」ということになっているわけではなく、婦長が個人的に「勉強ばかりしてこんをつめてないかしら」と心配していただけだと言われた。ちゃんと20分おきに、目を閉じて遠くの緑を見て伸びをして深呼吸をして神経を休めている、と話すと安心してくれた。

次の日曜日に試験を受けるので、今は勉強時間は多いけど、ずっと勉強ばかりしているわけではない、ということも話したら、その試験自体に興味を持って、どんな試験か逆に聞いてきた。どうやら婦長自身がコンピュータを使った統計処理やらに興味を持っていて、少しそういう話をした。ここの病院もシステム化して効率があがった、という話を聞いて、私が「そのシステム化のときは、業務内容についていろいろヒアリングに来たんじゃないですか」と尋ねると、「そりゃもう、毎日夜中までやってましたよ」と言う。情報システムを構築するにあたって現場から業務内容をヒアリングするのは基本だが、やはり業務担当者としてもかなり負荷がかかるものなんだなぁと実感した。

連絡会まではCDを聴いて休み、連絡会の後は隣のベッドのSさんとしばらく話をした。Sさんは3泊の外泊から帰って来たのだが、今日用事があって会社に行ったら、行く前にものすごく体ががちがちに緊張して、油の切れたネジのようになってしまったという。「2ヶ月じゃ早すぎるのかなあ」と言うが、焦らない方がいいと私も思った。しばらく鬱についての話や、私がカウンセリングを受けた話などをした。

その後喫煙所に出ていって一服していると、NHKの「クローズアップ現代」で「交通事故で過失致死を起こした加害者の刑罰が軽すぎる」というテーマを扱っていた。今の法律では飲酒運転だろうがスピード違反だろうが、死亡事故を起こしても普通に交通ルールを守って運転していて事故を起こした場合と同じ「過失」としか扱われず、その刑罰は最高で懲役5年だという。しかも、起訴される割合も低く、さらに執行猶予がつく場合も多くて実刑になるのは全体の5%だという。ようやく法律が改正されて、飲酒運転やスピード違反の場合は「過失」ではなく「故意」に近いものとして刑罰が重くなり、最高で懲役15年になるという。早ければ今年中に施行されるらしいが、15年でも軽いと思う。人一人の命を奪って15年だと?

被害者の遺族が泣きながら遺族のことを語っている映像が印象的だった。「人が死ぬ」と、最低5人はその人に関わる人が「心の傷」を受けると何かの本で読んだ。自殺にしろ、故意による他殺にしろ、過失にしろ、「人の命を奪う」ということは、その人だけでなく、その周りの人にも深い心の傷を与える、ということが社会全体で認知されてほしいものだ。

見ているうちに20:00になったので、便通の回数だけ記入して病室に戻り、日記を書く。この後はぼちぼち着替えて就寝準備をしようかな。今日はぜんぜん勉強しなかったけど、まあいいや。

割とよく寝た。途中うつらうつら目が覚めたときはあるが、まあよく寝た方だろう。一回だけ時計を見たら4:30だった。そのときアイマスクがはずれていなかったので、割とお行儀よく寝ていたに違いない。しかし、2枚かぶっていた布団は1枚しかない。もう1枚は横の方に追いやられている。しかも、靴下を履いていたのにいつの間にか脱げている。いや、自分で脱いだのだろうが記憶にない。起床後に探すと、床に落ちていた。それも頭の辺りに。少し喘息気味だ。

S君が今日もおかしい。朝、ホールの窓から飛び降りようとしたそうだ。狂言か本気かわからないが、ずっとおかしい。今はナース室で保護されている。あまり調子が悪いと、特に希死念慮が出てくると、閉鎖病棟に移されてもおかしくはない。

朝食後、ドリッパーで朝のコーヒーをいれて飲んでから、散歩に行っていつものごとく音楽堂でオカリナを吹く。今日も10月中旬だというのに暑くなりそうだ。病棟に帰ってきたら少し汗ばんでいた。風邪が治りきってないせいか、単に暑いからなのかはわからない。作業療法はどうしようか。とりあえず様子を見ながら、行くだけ行ってみよう。調子がよさそうでも1セットでやめておいた方が無難だろう。

作業棟へ行ってとりあえず基礎データを計った後、体力テスト。また途中で打ち切られたが、「6段階中の2。やや劣る」が出た。1が出ると思ったが、病み上がりにしては思ったほど調子は悪くない。たばこを一本吸ってからもう一度やると、今度は「6段階中の3。普通」が出た。お、いいじゃないか。漕いでいると、先週退院したMちゃんが来た。作業療法のために月木と通うらしい。少しピアノを弾いた後、陶芸の方へ行ってしまった。「病棟に顔出すの恥ずかしいから、一緒に来て」というので、11:00に一緒に行く約束をする。

終わった後、陶芸室へ行ってMちゃんが終わるのを待つ。今度は大きな灰皿を作っていて、退院したKさんにあげるつもりだという。みんないろんなものを作っていて、作業療法士の人が作ったオカリナまであった。私が持っているオカリナも、同じように陶器でできたもので、職人の手作りだ。私も自家製のオカリナを作ってみたいものだが、正確なピッチを出せるようなものを作るのは無理だろう。

Mちゃんが11:00少し前に終わったので、一緒に病棟へ戻る。住宅展示場でもらったというHONDAのロボット「アシモ」の人形をS君へのおみやげに持ってきていたが、S君がふらふらと作業棟に現れたときにあげようとしたら、いらないと言われたらしい。代わりにUさんにあげていた。Uさんは摂食障害が回復してちゃんとご飯も食べられるようになり、今月末退院予定だという。MちゃんはK君にも会いたいと言っていたので探したが、今日から外泊で、もう出かけた後だった。ほんの少しの間病棟にいただけでMちゃんは帰っていってしまった。

これを書いているうちに、寝ているS君の主治医が来て「ちょっと話したいんだけど」とS君に言い、面談に行ってしまった。と思ったら看護婦さんと戻ってきて、荷物をまとめ始めている。閉鎖病棟に移るのだろうか。彼は今朝、窓から飛び降りようとした。そういう行動をとればそうなってもしかたないだろう。

ホールに出て喫煙所でWさんから「閉鎖病棟へ10日間移るらしいよ」と聞いた。やはりそうだったのか。それで戻ってくるのだろうか。多少非常識なところはあっても、基本的には「いいやつ」だったので、いなくなると寂しいし、卓球の相手もいなくなる。すぐによくなってくれればいいが。

入浴後、14:00に閉鎖病棟に移るのを待っているS君と喫煙所で話をした。少し落ち着いてきたようだ。「なんであんな馬鹿なことしたんだろう」と悔やんでいる。Hさんが「本当に死のうと思ったの?」と聞くと「死のうと思ったわけじゃないです」と答える。じゃあ、どういうつもりだったのか。自分でもわからないらしい。ちらほらと聞いた話では「みんなについていけない」と言ったとか、「他の部屋で話をしているのを看護婦に注意されたそうよ。それが原因かどうかわからないけど」とか聞いた。確かに彼は他の部屋へ遊びに行って、その部屋の人とよく話をしている。それが「いけないこと」だとはどこにも書いてないし、看護婦から聞いたこともない。それを注意されたからと言って、そこまで落ちるだろうか?まあ、自分の心すらよくわからないのに。他人の心はわからなくて当然だろう。S君は閉鎖病棟に行くのを怖がっている。いろいろ制限が厳しいというのはわかっているから。彼から隠し持っている携帯を預かった。閉鎖病棟に行けば持ち物検査をされるからだ。さっきは10日と聞いたが、「早くて1週間と言われた」と本人は言っていた。果たして彼は1週間で戻ってくるだろうか。

15:00からカウンセリングが入っているので、指定された場所に行く。今日は顔合わせ程度だろう。15:00ちょっと過ぎにカウンセラーが現れて「前の人が少し長引いているので10分ほど待ってください」と言う。しばらくそこで待つ。

順番がまわってきて、改めてカウンセラーと対面する。カウンセラーにしてはよく喋る方だ。自分でもそう言っている。カウンセラーは医者からは「30代の男性」としか知らされておらず、私の病気などについての情報は一切知らない。これは先入観を持たないために意図的にそうしているらしい。まず最初に「なぜカウンセリングを受けたいと思ったのか」を尋ねられたので、3年前から鬱の症状が出ていて、2回会社を長期で休んだのにもかかわらずぶり返したことを話し、今回の入院でいったんよくなっても、またぶり返す可能性があるので、そうならないために自分自身を変えていきたい、そういうことを話した。いろいろな本を読みあさったこと、会社の産業カウンセラーと2年くらいカウンセリングは続けていたが、その関係も煮詰まっていることなども話した。産業カウンセラーに「この会社の仕事が向いてないんじゃない?他の仕事を探したら?」と言われたことを話すと笑って「産業カウンセラーは割と簡単になれるからねぇ。産業カウンセラーだとそういうことも言うのかな」と言っていた。ここのカウンセラーはもっと専門で信頼できそうな感じを受けた。ACの本を読んで「原家族ワーク」をやっていると鬱が入ってきて中止したことも話した。そのワークをやるには、自分の中から出てきたことを誰かと共有しないといけないと本には説明していて、その相手にもなってほしいということを話した。今、そのワークをやるべきかどうかも迷っていることも話した。カウンセラーによると、それは「パンドラの箱を開けるようなもの」で、開けると何が出てくるかわからない。それによって一時的に調子が悪くなることはある。だけどいつかは開けなければいけない。その時期を判断するのは自分自身だという。自分で「大丈夫だ」あるいは「調子が悪くなっても何とかなる」と判断してやるものだそうだ。ただし、やるなら「入院中」がいいと言った。入院中なら、具合が悪くなっても守ってもらえる。実社会へ復帰した後ならそうはいかない。「ところで、そういうACの回復をお手伝いしたようなご経験はありますか」私がそう尋ねると「そんな人ばっかです」そういう答えが返ってきた。信頼できそうだ。

自分がいろいろ本を読んだけど、読んだだけでは何にも変わらない、何か実行に移す行動療法があれば指導してほしい、ということも言った。が、このカウンセラーの方針としては「何も指導しない」そうだ。人から与えられたことは、頭ではわかっても本当に自分で吸収することはできない。だが、自分の中から出てきたこと、つまり自分で悟ったことは身につく。それをどんどんぶつけてほしい、自分は壁打ちの「壁」になるので。そう言った。「自分の中から出てきたこと」とは何だろうと思い、この間の公園へ行ったときのコスモス畑の話をした。「満開を期待すると『これっぽっちしか咲いてない』と残念に思うけど、『一本でも咲いていればラッキー』と思っていると『こんなに咲いている』と思うのじゃないか」と思ったことだ。「そう、そういうことです」カウンセラーはうなずく。よし、これからはできるだけそういうことを自分で「見つける」ことにしよう。カウンセラーは続ける。「そういうことを自分で見つけて、さらにそれを言語化し、人に話すというのが大切なんです」それを聞いて、私が毎日日記をつけている、と言うと「それは大変いいことです」と言われた。当初の目的は全く違っていたが、日記をつけていてよかった。

今回は軽くそういう話をした程度で、最初の1、2回は私のバックグラウンドを知るためにいろいろ質問するらしい。とりあえず毎週月曜日の15:00から1時間、ということになった。

夕方、婦長さん自ら郵便物を持ってきてくれた。DMだった。購読している雑誌の送付先を病院にしてもらったはいいが、DMまで送られて来るようになってしまった。婦長さんによると、「一年に二回咲く桜」が海の見える丘の近くにあって、今咲いているという。そんな桜があるなんて知らなかった。明日にでも見に行ってみよう。「その桜ってサクラじゃないですよね」という文字で書かないとよくわからない冗談は婦長さんに通用しなかった。

夕食後、連絡会まで参考書を読む。はじめに買った参考書の方で、経済産業省が出した各種ガイドラインを読んでいなかったので、改めて読んでみた。この内容を問われる可能性は十分にあるので、よく覚えておかなくては。

連絡会の後は、久々に20:00まで喫煙所で話をした。話題は最初はS君のことで、「彼は甘えている」という点でみんなの意見というか、彼に対する見方は一致していたようだ。彼の幼稚性は多くの人が指摘しているし、今回も「調子が悪いように見えるけど、単にかまってほしいだけだろうから、わざと無視していた」という人がいた。みんながかまってくれないから窓から飛び降りるような素振りを見せたのだろうか。飛び降りると言っても、窓を開けて片足をのっけただけらしいが、そこでTさんがびっくりして看護婦さんを呼んだそうだ。でもホールにいた他の人はみんな知らんぷりしていたそうな。

話題はその後PCのことやらビデオのことやら、マニアックな方面に移っていった。同室のYさんはかなりAVマニアらしく、どこかのメーカーが新しい規格の製品を出すたびにことごとく買っていたらしい。PCは覚え始めたところで、何とかDVから画像を取り込んで編集したいと思っているそうだ。

20:00も過ぎたので、そろそろ終わりにしよう。やっと風邪も治まったようだ。これから就寝準備をしてから、その後は何をしようかなっと。

眠れたけど浅いような。S君が自分の枕元の電気をつけたせいで目が覚めた。2回もだ。4:30と5:30。アイマスクをして寝たが、いつも寝ている間にはずれてどこかへ行ってしまう。私は寝相が悪く、寝ている間によく動くので布団もぐちゃぐちゃだ。

風邪の方はどうやら大丈夫そうだが、少し喉の痛みを感じる。夜の間に乾燥したか。念のため、朝の服薬後にうがい薬でうがいをする。

メールチェックする。平日は夜の間に10通くらいは来ているが、週末は少なく、今日は3通だった。

ドリッパーでコーヒーをいれ、蒸らしている間に灰皿当番なので灰皿の掃除をする。ゆっくりコーヒーを飲んで落ち着いて、と思ったら逆にだるくなってきたぞ。おいおい。

CDを聴きながら少し横になった。8:00過ぎから久しぶりに音楽堂へ行ってオカリナを吹き、それから自販機に寄ってペットボトルのお茶を買って帰ってきた。やはり少し熱っぽい気もするが、気にしない。身熱があるのだろう。帰ってからうがいをした。病室では寝てる人が多い。Yさんは昨日からずっと調子が悪そうだ。S君はゲームボーイを音を出してやっている。ボリュームは小さく絞っているが、それでも周りに迷惑かもしれないとは考えないのだろうか。どうもこの男の考えることはわからん。

昼食までずっと参考書を読み進めた。もちろん途中で休憩を挟みつつだが。この参考書はポイントを絞っているのはいいのだが、絞りすぎだという気もしなくもない。何の予備知識もなくいきなりこれを読んでいたら、解説が詳しくないために却って混乱していたかもしれない。詳細な参考書を読んだ後でこの参考書を読んだのは正解だった。

それはそうとS君が調子が悪いようだ。体調が悪いというより、何か落ち込んでいるようだ。鬱なのかもしれないが、彼の場合、私から見ると「鬱を語った怠け者」のようにも見える。治そうという前向きな姿勢が見られない。普段は「暇だ~」と言っていつもだらだらしている。他の患者は、何かしら前向きに取り組んでいるものがあるのに、彼はただ時間をつぶしているだけのように見える。彼は確かにうつ病かもしれないが、これではいつまでたっても治るはずはない。先週退院したSさんは「彼は人格障害じゃないか」と言っていた。人格障害は性格的なもので、厳密には精神病ではない。薬でどうこうなるものではない。その指摘は当たっているかもしれない。

ホールではカラオケが始まった。今日は人数が少なく、2人しかいない。気分転換にと2曲歌ったが、歌うとまだ少し喉が痛かったのでそれだけでやめておいた。まだ風邪が完全に治りきってないのかもしれない。うがいをして、また勉強の続きをするか、気分転換に他の本でも読むか、どうしよっかな。

演習問題の1をやってみる。やってみるというより、問題を眺めて答えをなんとなく考えて、そのまま解説を読む。ふむふむなるほど、こういう風に答えればいいのね、というのを覚えるような感じだ。なんとなくその後はやる気がしなくなったので、音楽を聴きながら横になってしまった。まあ、まだ1週間あるし、あせることはないや。風邪がぶり返すといけないし、汗もかいてないので今日は15:00のシャワーは省略した。

16:00過ぎからリラックス体操と自律訓練法をいつもより念入りにやった。あわせて40分くらいかけた。自己暗示は果たして効果があるのだろうか。流動的思考法も忘れがちだが、取り入れていきたいので、それも暗示に加える。「自分はマイナスの感情を元に自分の思考をコントロールできる」自分の感情をいつも自分で客観的に分析する、それは難しいというか自然の摂理に反しているのかもしれない。そんな気もするが、感情は自然に沸き上がるものとしても、その感情に自分が気づくかどうか、それはまた別の問題かもしれない。

以前買ってきた「目覚めのヨーガ」という本を取り出して、いくつかやってみる。基本的には「朝の目覚めをすっきりさせる」のが目的で、そのための14のポーズ(それぞれの派生版も含む)が載っているのだが、それ以外にも「腰痛に効くプログラム」「肩こりに効くプログラム」なども載っている。上記の14のポーズからいくつか抜き出して組み合わせたのと、それ以外にその症状に効くポーズが載っている。「肩こりに効くプログラム」をやってみた。なかなか効きそうないい感じである。私はレントゲンで背骨が歪んでいることはわかっているのだが、ヨガのポーズをやっていると、明らかに自分の体が左右非対称であることを感じる。痛さが左右で違ったりする。

連絡会の後、今度はヨガの本と一緒に買った「気功の基礎入門」という本をぱらぱらと眺めてみる。ヨガの本は易しく書いてあったが、こちらは漢字だらけでイラストもなんだかいかめしい。気功は奥が深そうだ。「基礎編」「調身編」「調息編」「調心編」「調気編」という章立てになっていて、「気」を操ることによって心身ともに様々なコントロールを行えるらしい。ヨガのポーズに似たイラストもたくさんあり、やはり相通じるものがあるのだろう。太極拳も気功に基づいているのだろうか。「基礎入門」の割には難しい印象を受けた。

夜は気分転換に、日経オープンシステム4月号の記事を2つ読んだ。気分転換でコンピュータ関連の雑誌というのもなんだかなぁという感じだが、セキュリティ関連の勉強ばかりしていたので、ちょっと新鮮かつ懐かしい。

もう8:20だ。今日はこのくらいにして就寝準備をしよう。

どうも熟睡できない。割とよく寝たと思って目が覚めて時計を見ると0:00。その後はなんども目が覚めては寝て、という感じ。4:30にも一度時計を見た。寝ながら「まだ朝にならないのかなあ」とずっと感じていた。一応眠ってはいるのだが、眠りは浅いような気がする。

6:00に起床し、顔を洗った後、熱を計る。35.9℃。血圧、脈拍とも正常。喉がまだ少し痛いほかは、風邪らしき症状はない。外出は大丈夫かな。

朝食直前に裏技を使ってしこんでおいた洗濯を、朝食後、ちょうど残り10分の注水のときにも裏技でバケツリレーで手早く済ませる。バケツも2つ使うことによって、さらに時間短縮できた。終わったらさっさと干しに行く。今日はいい天気で、気温も上がるらしい。よく乾くだろう。

それはそうとなんだか熱ぽっくなってきた。大丈夫かいな?まあ、今日の外出はあえて強行することにしてみよう。調子が悪い中、外出してどれだけ自分の状態を客観的に把握しながら行動できるか、ということも試してみなくては。無理を感じたら帰ってくればいい。うがい薬とコップも持っていって、外出先でもうがいすることにしよう。

出発まで音楽を聴きながら、財布の中身を整理し、レシート類を捨てたり、皮膚科の領収書を「医療費領収書」と書いた封筒に入れたりする。家賃を振り込んだときのATMの明細も封筒に保存する。なんだかんだやってるうちに出発時間が近づいてきたので、着替えて準備をする。

バスと電車を乗り継ぎ、いつも行っている散髪屋へ行く。待ち時間の間これを書いている。今のところ疲れは感じない。電車でも座れたし、ずっと音楽を聴いていたせいかもしれない。

散髪が終わってから近くのカレー屋で昼食を摂り、電車へ乗って乗り換え駅へ。その後は、人混みに慣れるためにわざと混んでいる方の本屋へ行き、「情報セキュリティアドミニストレータ」の参考書を買う。問題集を出しているのと同じ出版社のやつである。そして文庫本のコーナーをぶらぶらしていると、精神科を題材にした小説だか手記だかがあったので、2冊買った。

今日は早めに戻ることにする。時間には余裕があるが、帰りの電車に乗る。今のところしんどくはないが、風邪がぶり返してはいけない。なんだか汗が出ているのは、今日が暑いせいなのか、自分の冷や汗なのか。

病棟に戻って荷物の整理をする。15:00にお風呂だが、外出届を返却したときに「今掃除中だから、終わったら呼びます」と言われたのでしばし待つ。その間に買ってきた参考書をぱらぱらとめくる。前の参考書よりポイントが絞られていてわかりやすい。

シャワーを浴びて体を洗った後、しばらく汗が出てくるのを拭き拭きスキンケアをしてから、また参考書を読む。16:00になった。帰ったときに出してもらったコードでハンドヘルドPCの充電をしていたが、またコードを返却し、家計簿をつける。

夕食後、18:00頃まで音楽を聴きながら体を休め、その後に買ってきた参考書を読み進める。ポイントは絞ってあるが、解説は詳しくない。前まで読んでいた参考書を読んだ上でポイントを整理するのにちょうどよい。ポイントの説明の後に、何題かずつ設問があって、読んだ知識を確認するのに役立つ。

夜もしばらく勉強を続ける。ポイントの説明の後の設問は、問題集にも出てきた問題がいくつかある。別試験の過去問もあれば、独自の問題もある。知識の再整理には役立つが、どうせなら別の問題があればいいのに、と思う。なんだか熱っぽくなってきたぞ。おいおい。19:40頃に頭が働かなくなってきたのでやめにする。頭を使うと熱が出るのだろうか。風邪をひいたときは頭も使わない方がいいのかな。今夜も早めに寝よう。

また、朝起きれなかった。

夜はけっこうよく寝たと思うが、途中で喘息が出た。その間少し苦しかった。2回時計を見た記憶があるが、1回目は11:30だったか0:30だったか「まだこんな時間か」と思った。2回目は3:30だったか4:30だったか、「あれからけっこう寝たな」と思った。

6:00になっても6:30になっても起きることができなかった。意識はあった。覚醒はしていた。周りの音は聞こえていた。でも眠たくてもっと寝ていたい。起きるのがしんどい。そっち思いの方が強かった。7:00になり朝食の時間になり、なんとか体を動かすことができて、朝食を食べにホールに出ていった。T看護婦は「早く起きなさい」と言う。そんなこと言わなくたっていいのに。まず「どうしたの、起きれなかったの?」とか、優しい言葉をかけてあげるということはできないのだろうか。それにしても喉は痛いし鼻水は出るし、なかなか体調が安定しない。今日も作業療法は自粛しよう。

朝からずっとベッドに横になって寝ている。今は10:40だ。やはり調子が悪い。喉が痛いし、体もだるい。週に一度は外出してストレス耐性訓練をすることにしていて、明日は散髪して買い物する予定だったが、大丈夫だろうか。とりあえず外出届を出す。調子が悪ければ中止にしよう。勉強も進めたいが、体調を整えるのが先だ。

昼食後、ドリッパーでコーヒーを入れて飲み、また横になる。なんだかやはり熱っぽい。体のだるさは午前中よりましなのだが。はてさて、なんでなかなか治らないんだろう。病院でぬくぬくと生活しているため、抵抗力や免疫力が落ちてしまったのか。病み上がりで運動会に出たり、昨日の夜のように卓球したため、治りかけたのがいちいちぶり返しているのか。とにかく今日は風邪を治すことに専念しよう。

16:00の服薬までまた寝ていた。風邪薬の作用か、夜も寝ているのに眠ってしまっていた。ホールへ出ていくと月曜日に退院したSさんが来ていたので少し話した。薬を飲んでうがいをして、また休むことにする。

17:00の夕食までまた横になっていた。今度は別に眠っていたわけではないが、CDを聴きながら休んでいた。夕食を食べた後、また横になろう。夕方になるとなんだかまた熱っぽくなってきた。喉も少しまだ痛い。うがいはしてるんだけどなあ。明日は外出予定にしていたが、予備日として明後日の外出届けも出しておけばよかった。

メールチェックすると、同じ県の山岳連盟に所属している若手クライマーが単独で沢登りに行ったまま戻らず、捜索した結果、発見したものの手遅れだったというメールが入っていた。非常に残念だ。去年は北海道の歴史ある山岳会でも、やはり沢登りでベテランを含め3人死んでいる。

18:00過ぎ、検温する。36.7℃。熱はないが、自分としては少し熱っぽい。暖かくしなければと思って、サマーセーターを着て布団を二枚重ねで寝ていたら、かえって暑くて汗をかいてしまった。ペットボトルのお茶で吸水する。水分は多く取らなくては。「外出届、日曜日の分も予備で出しておけばよかったな」検温しながらそう言うと、看護婦が「外出なら、土曜日に『変更します』と看護婦に言えば、多分大丈夫ですよ」そう教えてくれた。そんな融通かきくのか。知らなかった。外泊はいろいろと面倒なのでそういうのは無理だそうだが、外出なら何とかなりそうだ。しかし、日曜日は外出予定がないというので灰皿当番を引き受けてしまった。ま、なんとかなるっしょ。

さっきの事故報告のメールに対してML宛に返信する。万が一のときのために、すぐに初動体勢に入れるように、うちの会でもいくつかシナリオを用意しておいた方がいいのではないか、と提案した。企業のリスクマネジメントでは「コンティンジェンシープラン」と呼んでいるもの、ということを付け加えておいた。こういうことを書くと反感を買うだろうか。

その後もCDを聴きながら横になっているうちに20:00になった。今日は眠剤をもらって飲んでさっさと寝ることにする。