昨日の妻の手術は、何の問題もなく終了した。麻酔から覚めてベッドに横たわっている妻は、チューブだらけだったが、意識ははっきりしていて普通に会話もできていた。順調に行けば1周間くらいで退院できるらしい。
今回、手術の説明を受けるまでは2人とも実感がわかず、そんな難しい手術でもなさそうだし、内視鏡でやるから体への負担も少ないようなので、さっさと終わらせたいなあ、そんな感じだった。
しかし、妻が入院した日に麻酔医や執刀医から受けた説明を聞いているうちに、2人ともだんだん不安になってきた。どういう麻酔方法だとか、どういう術式だとか、もちろんそういう説明なのだが、イレギュラーな場合の説明が怖かった。
「麻酔説明書」より
- 約3人に一人の割合で喉の痛みや違和感を感じたり、声のかすれが残る場合があります(多くは1~2日間)
まあ、これはいいだろう。
- 非常にまれ(1万例に1例くらい)に数ヶ月声がかれることがあります。
声がかれると場合によっては不便なときもあるけど、1万例に1例だし、まあ別にいいだろう。
- 肺塞栓症
エコノミークラス症候群ともいわれていますが、血管内に血の塊ができてしまい、それがなにかのきっかけで肺の血管に詰まってしまう状態です。場合によっては命にかかわることもあります。手術中に発生し重篤な状態になる確率は1万分の1くらいです。予防のために様々な対策をたてていますが完全に防ぐことはできません。
- 悪性高熱症
約10万例に1例の割合で麻酔薬に特異な反応をしめして、手術中に高熱を出してショックになる方がいます。一度発症すると10%の方は亡くなってしまいます。
この辺りから怖くなってくる。もちろん病院としては事前に説明し、その上で同意書にサインしてもらう必要があるので、脅しでも何でもなく書いてあるのだが、1万分の1とは言え、命にかかわるとか言われるとビビる。
「手術に関する説明と同意書」より
【術後合併症】
出血、重要臓器障害(心・肺・脳・肝・腎)、感染(創・胸腔内)、縫合不全、腸閉塞、膵液・胆汁漏、膵炎、及び胸、胆嚢炎、吻合部狭窄などが発生する可能性があります。合併症が生じた場合、状況に応じて適切な処置を行います。場合によっては再手術が必要となる場合もあります。
へ?肺の手術なのに?この辺はテンプレート、というか全ての手術でこう書いてあるのかな。
- 肺切除部からの空気漏れの持続、それに伴う胸腔ドレーン長期留置の可能性
- 静脈血栓塞栓症、それに伴う肺血栓閉塞症、脳梗塞
うう、これは何万人に1人とか書いてないのね。脳梗塞は困るよ~。
★100%安全な手術ではありません
いや、そりゃ100%と断言はできないことはわかっていますが。
「輸血療法に関する説明書」より
(今回の手術では基本的に輸血は必要ないが、何らかのアクシデントで輸血を行う可能性は否定できないとのこと)
血液不適合輸血の場合に、血液が壊れて腎不全を起こすおそれがあります。
輸血療法による感染症(B型肝炎、C型肝炎、HIV)が、事後に発症することがありえます。現在では、献血時のスクリーニング検査が行われていますので、その危険性は非常に少なくなっていますが、全くないわけではありません。(感染リスクの確率は、B型肝炎が34~35万本の輸血に対して1件、C型肝炎ウイルスが約2200万人に1人、HIVが約1100万人に1人と推定されています。)その他に、未検査、未知の病原体による感染の可能性もあります。
え!かなり低い確率とは言え、輸血で感染ってまだあるの?
ほとんど「非常にまれ」ではあるが、こうずらずらっと書かれると、だんだん不安になってくる。
「特定生物由来製品による治療に関する説明と同意書」より
説明されたけど、なんだかよくわからなかった。
「身体抑制等に関する説明書」より
手術後や病状によっては、一時的に錯乱に近い状態になられる場合があり、その時、いくら説明しても理解していただけない状況があります。
そんなこともあるんだ。そういう時に手足を縛り付けますよ、いいですね、という説明である。去年自殺未遂した後には、覚醒した瞬間これだったから、もうパニックだったなあ。
そんなこんなで「同意書」てのに何枚もサインした
- 手術に関する説明と同意書
- 麻酔に関する説明と同意書
- 輸血に関する説明と同意書
- 特定生物由来製品による治療に関する説明と同意書
- 身体抑制等に関する説明と同意書
よくわからないまま同意書にサインしたものもあったが、手術ってリスクを伴うから、そういうものなんだ。
この説明を受けてから、じわじわとなんだか怖くなってきて、いくら低い確率とはいえ、不測の事態が起こったらどうしよう、と落ち着かなくなってきた。
無事何事もなく終了して、本当によかった。