前回の続きで、スピリチュアルな心理ワークショップの話。今回はお誘いから参加に至るまでの経緯である。この記事は連作なので、(1)を読んでいない方は、そちらから読んでいただきたい。今回は長くなってしまった。
友人Fと久しぶりにメールをやり取りしていると、彼女からこんな話が出た。
下記、もしよかったら遊びにきませんか。
ちょうどいいタイミングでこんなイベントがあったわ。
■心理ワークショップのお誘い
月一回、心理療法の先生が東京に来るのね。
ボランティアで悩んでいる人の治療を無料でやっているの。体の悪いところも見てもらえるよ。
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(以下その説明)
正直「ちょっとこれは・・・」と思った。この類の話は、通常はお断りするところである。
先月の日記でも書いたが、私のような病気を抱えていると、いろんな人がいろんな話を持ってくる。みんな善意で紹介してくれるのだが、健康食品やらサプリメントやらなんとか還元水やら怪しいスピリチュアル系のものやら宗教やら、もう様々である。
そしてそれらは、なんだかんだ言ってけっこうお金がかかるものがほとんどだし、勧められるものを次から次へと試せるわけもない。そういうわけで、どれも丁重にお断りすることにしている。これが私の基本的なスタンスである。
しかし、今回は勧めてくれたのが友人Fというところで、自分の心に少し引っかかった。前回の記事でも書いたが、彼女は特別な何かを持っていると自分は感じている。本物を見極める嗅覚といっても良いかもしれない。
かと言って、それだけで簡単に受け入れられるというわけでもない。その理由が、これが「スピリチュアル系」だということ。そしてもう一つが「無料」というところ。
まず、「スピリチュアル系」についての話をしよう。
前回の記事で「先生」と書いたのは、関西にある鍼灸院の先生である。ホームページを見たところ、鍼灸院と言っても肩こりや腰痛などの治療だけではなく、抑うつやノイローゼ、不安感、摂食障害などのメンタル面の治療もしており、身体療法や心理療法を行なっているそうで、
「身体の悩みも心の悩みも、きっと根っこは同じです」
とのこと。これはまあ、ある程度理解できる。
しかし、戸惑ったのが、そのホームページに散りばめられたキーワードの数々。
「野口整体」「心理療法」「気功」「東洋医学」「催眠」「家族療法」「易」「数秘学」「占い」「霊性」
こ、これはまさしく、間違いなくスピリチュアル系の証。「整体」や「心理療法」「東洋医学」などはまだ理解できるが、「易」やら「霊性」やら、ちょっとこの辺りになると、自分には???の世界。
このようなスピリチュアル系のものに対しては、自分自身は懐疑的である。ただし懐疑的ではあるが、全否定はしない。これに関する自分の考察は、後日また書くことにする。
話を鍼灸院に戻そう。その先生はカウンセリングのスクールもやっており、東京講座も行なっている。友人Fはその受講生で、2年間くらいカウンセリングを勉強しているという。カウンセリングといっても、臨床心理士のような国家資格ではなく、あくまでもこの鍼灸院の先生のやり方を踏襲したメソッドを身につけるものらしい。
そしてもう一つ気になった「無料」の誘い文句。
あくまでも一般論だが、「ただより高いものはない」という言葉があるように、「無料」とつくものには何か裏があるかもしれないと常々思っている。それは宗教や怪しい自己啓発セミナーの入口だったり、悪徳商法や詐欺の餌食への入口だったりする。だから、金がかかるのは敬遠するが、全く金がかからないものは、それはそれで警戒するのだ。
友人Fに、なぜ無料なのか尋ねてみた。その答えが、
無料なのは、このワークショップが教育病院的な意味合いを持っているからです。お医者さんも研修医時代があるように、カウンセラーも実際の患者さんを見つつ、研修の時期が必要であると、先生は考えているのと、またグループでやったほうが治療の効果が上がり、カウンセラーと患者の依存度が少なくて済むという見解があります。
とのお答え。なるほどそうか。って、おいおい被験者かよ、と思ったら、その続きに、
まず、治療に関しては、カウンセリングコースの卒業生3人(私とその他二人)と先生のチームで担当します。つまりグループです。一応、私も入ってるから安心でしょ。
ああ、ちゃんとグループに先生が入っているのね。それはそれで納得がいくし、私が信頼している友人Fが入っているから、安心というか、不安要素は軽減される。とは言え、やはりこの手のものには抵抗がある。
しかし、その後に彼女がくれたメールが、私の心を動かした。それは、その先生の治療方針を書いたもので、そこから抜粋すると、
まだまだ明確な方法論はないのだが、こういった方々のサポートをしていく上で、今言えることは、次の二点である。
1 精神医学であれ、心理療法であれ、ひとつの分野だけでは難しいということ。
様々な分野の芸術家、ボディワーカー、また気功やヨーガ、瞑想など心身変容技法の専門家など、いろいろな分野のプロが協力できる体制が望ましい。
薬物療法の限界を感じている私にとって、いろいろな分野から多角的にアプローチする、という考え方は、なるほどと頷けるものがあった。ただ、上に掲げられた分野には???なものも多いが。
それから、そのメールの冒頭に彼女が書いた、以下の文章。
これ読んで、もし興味あったらということなので、あまり深く考えないでね。
あと宗教団体やスピリチュアルな商売とは一切関係していないのでご安心を。
私も本業はカウンセラーじゃないから、商売とも関係ないので安心して。
宗教団体やら商売とは無関係だと言われても、はいそうですか、と簡単には思わない。それくらい私の猜疑心は強くなっている。しかし、よく考えたら彼女は知っているのだ。私が経済的に困窮していることを。
そういった経緯があり、最終的には自分の中で、彼女を信じてみようと思った。実は彼女を信頼できる根拠は10年以上前に遡る。下記は私が療養のために入院したときに、彼女がくれたメールの一部。送信日付は2001年8月14日となっている。
気分のアップダウンのある性格もひっくるめてはまーさんなんだから、そのままのはまーさんでいいんです。気楽にやればいいと思いますよ。
病院から帰ってくれば、みんなが迎えてくれます。みんなが支えてくれる。
決して一人ではないということを忘れないで下さい。
人生は長いレースだと思います。でも最後に勝つのは、ウサギではなく亀ですよ。ゆっくりやりましょう。
そして美しいものを沢山見て、美しい歌を沢山歌って・・・・。
だからそうするために、今はよく休んで下さい。
過去のメールを検索していて、このメールを発見したときは、改めて涙が出そうになった。彼女はずっと変わらない。ずっと前から自分を気にかけてくれて、支えてくれていた。
わからないことや懐疑的なことはたくさんあるが、騙されたと思って行ってみよう。そう思わせたのは彼女の人徳ゆえである。