「気が変わりましたか?」
診察室に入ってきた妻と私の顔を見た瞬間、医師はそう言った。
先週の水曜日。
妻と私は、妻のCTの再検査の結果を聞きにK病院へ行った。前回のCTの時には、念のための再検査という感じだったので、二人とも楽観視していたが、現実は甘くなかった。
少し軽いノリのその医師は、2つのCTの画像を見せながら色々説明してくれた。何かオブラートで包んで話をしているような感じで、まだ経過観察の猶予はある、と言った。だが、そこに鋭く針をさすかのごとく、
「だけど、これは医者としては非常に気になる」
と、その言葉だけはかなり強い口調で言った。そこにその医師の本音があり、本当はそんなに楽観視できない事態だということを物語っていた。
「とりあえず2月くらいに再検査にしておきますか」と医師が言ったので、そうすることにしたのだが、診察室を出る間際に、
「気が変わったらいつでも来てください」
医師はそう言った。そこにも医師としての本音が顔を出していた。
妻はネットで調べまくった。自分と同じような症例の人が、ブログなどに体験談を書いたり、CTの画像を載せていたりした。それほど恐れることでもないようだ。
妻は腹をくくった。やるなら早い方がいい。二人でそう話し合い、今日予約外で病院に行った。そこで、開口一番に言われたのが冒頭のセリフである。たくさんの患者を診ているのに、よく自分の言ったことを覚えているなあ、と二人とも驚いた。
それから話は早かった。院内紹介ということで、今度は改めて外科を受診することになった。担当外科医が火曜日と金曜日だけなので、明後日に行くことにした。
なぜこんなに病院ばっかり行かないといけないのだろう。月曜日は2人ともメンタルクリニックに通院だ。